自然界において個体を特徴づけているものは,遺伝子が一定の順序で配列してい る染色体である.この染色体の変異と環境による選択淘汰によって種の進化が実 現されている.Hollandの研究に始まるGAは,上述のような遺伝子情報に基づく 生物の環境適応的な進化過程を模擬した最適化手法である.GAを最適化問題に適 用する方法について以下に述べる.
まず最適化問題の決定変数ベクトルを
個の記号
の列で表すこととし,これを
個の遺伝子座からなる染色体とみなす.
は遺伝子であり,これの取り得る値が対立遺伝子である.対立遺伝子としては,通常,
0と1の2値,ある整数の組,ある範囲の実数値,単なる記号などが用いられる.
このような記号化された染色体を個体の遺伝子型と呼び,染色体に対応して定ま
る変数
の値を表現型と呼ぶ.次に,進化の過程の実現方法について述べる.
上述の記号化された染色体を用いて表現される個の個体からなる集合(集
合
群)を考え,世代
における個体群に対して,以下のような遺伝的操作(遺伝演算子)
を適用し,次の世代
の個体群を生成する.
このような遺伝的操作により世代更新を繰り返し,更新のたびにより良い個体
(より最適解に近い解)が選択されて,増殖するようにすれば,やがて最適解
が得られるであろうというのがGAの考え方である.